シナリオ２ ハチの非常用グッズはない！エサと水持ち避難所へ
太郎が慌てて自宅マンションに戻ると、普段はおとなしいハチが不安そうに鳴く声が聞こえてきた。自宅のドアを開けると、激しくほえながら、ハチが飛び出してきた。
「静かにして」。大きな声でしかると、さらに激しくほえた。家の中を走り回ったようで散らかってはいるが、幸い、ハチにケガはないようだ。
「ここは危ない。避難所に行かないと」。犬は連れて行けるのか。太郎は不安になった。だが、考えていても時間が過ぎるばかり。非常用袋に入れていたラジオをつけると、沿岸部から避難するよう、アナウンサーが繰り返している。ハチにリードをつけて、自分は非常用袋を背負った。
「しまった」。災害に備え、自分用の非常食や簡易トイレは準備していたが、ハチのための非常用グッズは準備していなかった。それでもペットフードと水だけは持って外に出た。
外はところどころ地震で割れたガラス片が散乱し、ブロック塀が崩れた場所もある。ケガをしないよう、太郎はハチを抱っこすることにした。落ち着かないハチは何度も腕から落ちそうになった。太郎は必死で抱きしめ、高台の避難所に急いだ。
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