災害時のペット(前編)地震発生でどうなる?どうする?

シナリオ3 ハチは屋外で離ればなれ 不安な夜

避難所となっている小学校の体育館に着いた。すでに多くの人がいたが、犬や猫などのペットは見当たらない。「ハチはどこで過ごせばいいのか」。迷っていると、避難所の運営者から「犬は外でつないでおいて」と声をかけられた。

散歩は好きだが、外で過ごすことに慣れていないハチ。太郎の足元にまとわりつきながら大きな声で鳴いた。「避難所はペットが好きな人ばかりではないだろう。ハチと一緒にいられないのも仕方がないな」と太郎は思った。

炊き出しの豚汁が振る舞われ、心も体も少し温まった。ハチもおなかがすいただろうと、持ってきたペットフードと水を与えたが、食欲がないようで、あまり食べなかった。心配になっていると、ほかの被災者から、「人間の分も水が足りていないのに」との声が聞こえた。

津波警報が続き、自宅に帰るのは難しく、一晩とどまることに。毛布にくるまって1人、ハチの写真を眺めると、不安が募った。「元気で過ごしているだろうか」。津波が来るかもしれない恐怖とともに、慣れない外につながれたハチを思い、太郎は眠れない夜を過ごした。

(読売新聞 2022年4月13日掲載 「防災ニッポン 災害時のペット」 生活部・林理恵)

後編では、災害時にペットを連れて避難する際の注意点や、備えておきたいペットの防災グッズなどを紹介します。

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災害時はペットと避難!グッズと訓練で備えたい

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