富士山噴火後の避難計画が「まず徒歩で」となった理由

車で避難する場合、最大5時間47分にも

新しい避難計画の検討委員会では、車の避難により深刻な交通渋滞を引き起こす懸念が示された。交通手段別の避難時間のシミュレーションによると、現行計画に従って住民全員が車で避難する場合、避難に要する時間は富士吉田市の一部で最大5時間47分にも及ぶ。全員が徒歩で逃げる場合の1時間54分を大幅に上回る結果となった。

写真説明:富士山噴火に備えた避難訓練で生じた車の列(2014年10月、静岡県御殿場市で)(画像を一部修整しています)

マイカーは極力使わない

このため中間報告では、市街地の一般住民は噴火直後、車を使わず徒歩で危険な範囲から離れ、一時避難場所からバスなどで集団避難する方針を示した。高齢者や障害者などの要支援者が乗る車を優先させるためだ。ただし、各市町村の実情次第では、車による避難も検討の余地があるとしている。

◆これまでの避難イメージ(左)と新しい避難イメージ

(※富士山火山防災対策協議会の資料を基に作成。噴火前に避難する場合や、地域の実情によっては、一般住民の車の避難も可能)

検討委では避難時の住民の行動分析などに時間を要したとして、避難計画の最終報告は2022年度に先送りした。降灰への対策や要支援者の避難体制について引き続き検討する。

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