【京都大防災研から】温暖化は街や家の油断を狙ってきます

写真説明:西日本豪雨で川が氾濫し、大規模な浸水被害が発生した岡山県倉敷市真備町(2018年7月7日)

「達人の備え」今回のテーマは地球温暖化です

このコーナーでは、京都大防災研究所の研究者が、減災につながる行動や意識のヒントを伝えます。今回は、中北英一所長(水文気象学)です。

京都大防災研究所のこと

京都大防災研究所は、戦災で荒れ果てた国土を台風や地震が襲った戦後の経験から1951年に設立されました。「総合防災」「地震・火山」「地盤」「大気・水」の4の研究グループで100人を超える教員が学生らと研究に励んでいます。

この10年を振り返ると

今回は、私の専門である地球温暖化の話です。この10年、梅雨や台風による洪水や土石流、地滑り、高潮・高波、強風などの災害が相次いでいます。これは温暖化の影響でしょうか? 答えは、「イエス」です。

2018年の西日本豪雨では、1980年以降進んだ温暖化の影響だけでも総雨量が6~7%増えたことが科学的に明らかになっています。今後より多くの地域で災害が起きやすくなり、減災に関する常識が通用しなくなります。国も、科学的な将来予測に基づき、温暖化の影響を加味した治水目標に切り替え始めています。

皆さん1人1人にお願いしたいこと

あなたの街の避難計画は、温暖化の影響を加味しなくても大丈夫ですか? 現在想定されている避難経路や避難場所は使えなくなります。命を守るためには、行政に対して、温暖化の影響を加味した浸水マップを早く作るようお願いしてください。

そもそも、あなたの家は安全な場所にありますか?「温暖化」は油断しているところを狙ってきます。

 

中北英一京都大防災研究所長(水文気象学)

(読売新聞 2022年4月25日掲載)

※京都大学防災研究所のHPはこちらです。

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