豪雨時の運転は「冠水」注意!(前編)どんな状況に陥るか

シナリオ3 水位上昇で側溝にはまりドアを開けて車外へ

しばらく進んだ太郎の車は全く動かなくなってしまった。どうやら水の中で道路脇の側溝に前輪がはまってしまったようだ。

「まさか急に深い場所があるなんて」。夕方で視界が悪かったことも災いした。その間にも雨は降り続いており、道路を覆っている泥水の水位も時間の経過とともに上がってきたように感じる。

いったん外の様子を確認するため、運転席の窓を開けようとしたが、スイッチを押しても作動しない。仕方なくドアを開けてみると、水位は既に車の床面の高さぐらいまで上がっていた。このまま水位が上がってドアまで達してしまいそうだ。「水圧でドアが開かなくなって車内に閉じ込められてしまうのでは」。不安に駆られた太郎は、慌ててドアを開けて外に出た。「閉じ込められた時に備えて、脱出するための道具が車内に必要だったのかも」と思った。

花子には「車が水没して迎えに行けない」とLINEを送った。太郎は膝下まで水につかりながら、自動車を水没させる行動を取ったことを悔やんだ。水が引いた後、この車をどうやって運ぶのか、新しい車を買うまでの交通手段はどうしようか。今後の処理を考え、太郎は途方に暮れた。

(読売新聞 2022年5月12日掲載 「防災ニッポン 大雨時の運転」 生活部・大郷秀爾)

後編では、冠水する可能性がある道路を把握する手段や、浸水した車内からの脱出方法などを紹介します。

<関連する記事はこちら>
災害時の「車で避難」医療ケア継続には電源確保の工夫も!

無断転載禁止

この記事をシェアする

オススメ記事

新着記事

公式SNS