夜の地震で大規模停電(前編)家や家族に何が起きる?

シナリオ3 エアコンが停止し暑くて眠れない…辛抱

マンションのベランダから周辺の様子を確認してみた。近くで火災が発生している様子はない。海や川は遠いので津波の心配もない。懐中電灯を持って避難行動を始めた人たちの姿が見えたが、自宅周辺は信号機もついていないようだった。

「外は真っ暗で、子どもを連れて避難するのはかえって危険だ。明るくなるまでは自宅にいようか」と花子に相談した。避難所には行かずに、自宅で一晩過ごすことにした。大きな被害がない場所に移り、眠りにつくまで一休みすることにした。

だが、だんだんと部屋の中が蒸し暑くなってきた。停電でエアコンが使えないのだ。長女は「暑くて寝られないよ」とだだをこねる。ジメジメしていて過ごしにくい。窓を開け、うちわであおぎながら、熱中症対策として水分補給させるしかなさそうだ。

電車で20分ほどの場所に住む太郎の父は、肺の病気で在宅酸素療法を受けている。電気につないで酸素をチューブで送っているが、停電が続くと機械は止まってしまうのではないだろうか。電話して様子を確かめようかとも考えたが、スマホの電池は残り少ない。停電の時の対応はちゃんと覚えているのだろうか。だんだんと不安が募ってきた。

(読売新聞 2022年6月16日掲載 「防災ニッポン 大規模停電」 生活部・梶彩夏)

後編では、停電に備えて用意しておきたいものや、停電が起きたときの行動のポイントなどを紹介します。

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深夜の地震発生への備え!停電対策と大きな揺れへの注意点

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