指標変更で「浸水害」予測を細分化
数十年に1度の大雨が予想される時に発表される「大雨特別警報」。気象庁は2022年6月30日、発令の判断に必要な指標を変更し、浸水害が起こり得る場所を市町単位で絞り込めるようにした。防災や避難への活用策について、松山地方気象台の浜崎博史予報官(=写真)に聞いた。
大雨特別警報が発令される仕組み
――どう改良されたのか。
これまでは、降雨が土中に染み込んだ量を示す「土壌雨量指数」を使い、基準を超えれば発表していた。国内を5km四方の格子状に区切って浸水害を予測。網の目が大きかったので、特別警報の発表が複数の市町にまたがった場合、被害のない場所が含まれることもあった。
一方で、これまでは被害が出ているのに大雨特別警報を発表できない場所もあった。中小河川の氾濫や、コンクリートで覆われた場所で発生する内水氾濫について、対応できていなかったのが原因だ。
新しい指標になると
新しい指標では、地表にたまる雨水の量を示す「表面雨量指数」、雨水が川に流れ出した量を示す「流域雨量指数」を導入。中小河川の氾濫や内水氾濫の可能性を捉えられるようになった。予測のエリアが1㎞四方と細かく、基準値を超えた場所がまとまって出現し、さらに激しい雨が降り続く想定なら市町ごとに特別警報を出せる。
■大雨特別警報に導入された2つの指標
説明:気象庁の資料を基に作成
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