大雨特別警報が市町単位に!松山地方気象台の予報官に活用策を聞く 

防災や避難のタイミングについて

――どう使うのか。

全国的に見れば、愛媛県の降水量は少ないが、南予や山地にはそれなりの量が降る。2018年の西日本豪雨では南予で特別警報が出された。近年は雨の降り方が変わり、平地でも短時間で局地的な豪雨が起きてもおかしくない。

写真説明:西日本豪雨で愛媛県内では多数のミカン畑が甚大な被害を受けた(2018年7月13日、宇和島市で)

現在、国管理の大きな河川では洪水予報が出せるが、自治体が管理する中小河川の全てには対応していない。新しい特別警報は中小河川の洪水の危険性も把握でき、災害が迫っていると判断できるようになった。

 

特別警報発令前・早期避難が大前提 

ただ特別警報が出る状況は、既に災害が発生している恐れがある。早めの避難が重要なのは大前提で、注意報、警報などを活用して速やかに避難してほしい。

――6月から線状降水帯発生の予測発表が始まった。

積乱雲が次々と発生して帯状に連なり、数時間にわたって大雨が続くのが線状降水帯だ。西日本豪雨でも広島県付近で確認された。短時間で急激に雨が強まるため、土砂崩れや河川氾濫につながる。

気象庁は6月から、発生の半日~6時間前に予測情報を発表するようにした。観測態勢の強化や、スーパーコンピューターを使って気象の変化を予測する数値予報のモデルを改良して予測できるようにした。予測は原則、四国や中国、近畿地方などといった11の区分けで出される。

夜間に大雨が降ったらどうなるか

しかし現在の技術では、正確な予測は難しい。予測を発表しなくても線状降水帯が発生する可能性は残る。

夜間に大雨が降るという予測を6時間より前に出して、事前の避難につなげてもらうのが目的だ。夜に大雨になると、冠水で道路が見えなくなったり、停電が発生したりして避難が難しくなる。大雨が降ると自宅の周りがどうなるかを想定して、命を守る行動につなげてほしい。

(読売新聞 2022年7月1日掲載 松山支局・長尾尚実)

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