いま首都直下地震が起きたら!どんな事態になるのか

シナリオ 2 木造密集 焦げる空…近所

太郎はひとまず外に出ることにした。非常階段を下りると、倒壊した木造の豆腐屋が目に飛び込んできた。

いつも愛想のいい老夫婦は……。崩れた屋根の下からうめき声が聞こえてきた。店主ががれきに挟まれている。「誰か手伝って!」。周りの人たちとがれきを取り除き、引きずり出した。脚が折れている様子なので119番したが、全くつながらない。自分たちで救命・救助するしかない。

しばらくしてふと見渡すと、空が赤く染まり、あちこちで黒い煙が立ち上っている。この辺りは古い木造住宅が密集する下町だ。そういえば自宅を出る際、電気のブレーカーを落としていなかった。通電火災を防ぐために必要だと聞いたことを思い出した。

だが、火の手が迫り、一刻の猶予もない。店主を交代で担ぎ、避難場所を目指した。時折、火の中から「助けて」という叫び声が聞こえてきた。燃えさかる家の前で、家族を助け出そうとする男性が羽交い締めにされながら引き離される姿も目にした。立ち尽くしそうになるのを必死にこらえ、歩き続けた。

→救命・救助

119番通報が殺到する上、建物の倒壊などで道路網が寸断され、消防による救命・救助が間に合わない恐れがある。負傷者を住民自らが救うため、心臓マッサージなどによる心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)の使い方を知っておきたい。ノコギリやバールなどの道具の備えがあれば、住宅や家具の下敷きになった人を助け出すのに役立つ。

→通電火災

火災が多発して延焼し、大きな被害が出ることが危惧される。消火器などを使った初期消火の方法を確認しておきたい。
注意が必要なのが通電火災だ。停電から復旧する際、破損した電気配線などから引火して起きる。自宅から避難する際はブレーカーを落とすことが欠かせない。揺れを感知して電気を遮断する感震ブレーカーの設置も検討したい。

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