帰宅困難者になったら。覚えておきたい3か条

写真説明=東京都港区の虎ノ門ヒルズでは定期的に、帰宅困難者受け入れの訓練を行っている(森ビル提供)

「発生直後、徒歩や車で帰宅しようとするのは控えるべきだ。消防車や救急車の活動の支障になる」――。大都市圏で大規模地震が起き、公共交通機関が止まった際に想定される帰宅困難者について、東京大准教授(都市防災)の広井悠さんは、こう訴える。余震による落下物や火災で負傷する危険もある。

最大800万人が一斉帰宅…

帰宅困難者は、2011年の東日本大震災では首都圏で約515万人に及んだ。首都直下地震の被害想定では、最大約800万人に上る。在宅ワークの推進で緩和される可能性があるとはいえ、徒歩で一斉に帰宅することになると混乱を招きかねず、国や東京都などは、職場や最寄りの「一時滞在施設」など安全な場所に、3日間程度とどまるよう呼びかけている。

一時滞在施設は地震発生後、帰宅困難者向けに、学校や図書館などの公共施設のほか、自治体と協定を結んだホテルや商業施設、オフィスビルなどに開設されるものだ。食料や飲料水、毛布などが備蓄され、トイレも利用できる。受け入れ訓練を定期的に実施している施設もある。

職場などに飲食物・薬の個人備蓄を

自治体が事前に開設場所を公表しているもののほか、開設後にSNSなどで情報提供するものも。東京都内であれば、「東京都防災アプリ」(都作成)でも地図上で確認できる。地図を事前にダウンロードしておけば、通信障害時もオフラインで見られるという。

職場にとどまる場合は、食料や飲料水などを個人でもロッカーなどに用意しておきたい。会社の備蓄だけでは足りなくなるといった場合があるからだ。広井さんは「食物アレルギーや持病がある人は特に、自分で食料や薬を用意しましょう」と助言する。

家族との連絡方法を確認

共働きの子育て世帯や一人親世帯の場合は、小学校や保育所などに、災害時の子どもの安否についての連絡方法や、保護者がすぐに戻れない場合に子どもを保護してくれるかなどを確認しておきたい。内閣府が2015年に策定した「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン」は、学校や保育所などが保護者との連絡体制を整えることなどを求めている。

無断転載禁止

この記事をシェアする

オススメ記事

新着記事

公式SNS