豪雨時に都市部でおきる土砂災害(前編)自宅近くでもし起きたら…

シナリオ3 近くで崖崩れが発生!いろいろな後悔が頭をよぎる

避難所となった小学校の体育館にはすでに多くの人がいた。不安そうな大人たちの中で、友だちを見つけた長男が騒ぎ出した。

「静かに」と注意されても大きな声を出したり、走り回ったりする。周囲の目が気になって太郎も花子も居心地が悪い。雨がやんだら、車で帰宅しようと決めた。

雨にぬれて体が冷えてしまった長女が「寒いよう」と泣き出した。雨も落ち着いてきたことから、そろそろ自宅に帰ろうかと考えていた時、叫び声が聞こえた。「近くの崖が崩れたようだ」「土砂が家屋の近くまで流れ込んできている」。太郎の住む地域からびしょぬれで逃げてきた人たちが、興奮した表情で話していた。

「土砂が流れ込んだ一帯は、ハザードマップで土砂災害警戒区域になっていた」。

周囲の人々の話を聞きながら、太郎は引っ越しの時に自治体などから配られた資料をよく確認せずにいたことを思い出した。長女を抱っこして体を温めてやりながら花子も、「気象情報や避難情報をしっかり聞いてもっと早めに行動しておけば、こんな寒い思いもさせずに済んだのに」と肩を落とした。

「自宅は大丈夫かしら」。購入時に組んだローンはどうなるのだろう……。太郎と花子は避難所で眠れないまま夜を過ごした。

(読売新聞 2022年10月17日掲載 「防災ニッポン 土砂災害への備え」 生活部・林理恵)

後編では、都市部の土砂災害リスクに備えるためのポイントなどを紹介します。

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