災害に強い街づくりを目指して いま関東大震災から学ぶこと

関東大震災研究の第一人者・武村教授に聞く

日本の自然災害史上最悪の被害をもたらした1923年の関東大震災から、2022年9月1日で99年となった。約10万5000人が犠牲になった未曽有の大災害から、我々は何を学べばよいのか。関東大震災研究の第一人者、名古屋大減災連携研究センターの武村雅之特任教授(地震学)(=写真)は3つの教訓を示す。

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「相模トラフ」で起きた巨大地震

関東大震災を引き起こした関東地震は、南海トラフ地震と同じ海溝型地震で、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・9とされる。震源は相模湾の相模トラフ沿いで、静岡県の熱海で約12m、千葉県の館山で約9mなどの津波が発生した。

相模トラフとは、相模湾北西部から房総半島沖を経て日本海溝まで延びる長さ約300kmの海底の溝。陸側の北米プレートの下に海側のフィリピン海プレートが沈み込む場所で、巨大地震の震源域とされる。

◆関東地震の震源になった相模トラフ

圧倒的な火災の死者

住宅の倒壊状況から推定した震度は、神奈川県から千葉県南部を中心に7の地域が広がる。死亡原因の内訳は、火災が約9万2000人と圧倒的に多い。次いで住宅の倒壊による圧死が約1万1000人で、阪神大震災を大きく上回る。ほかに土砂災害が700~800人、津波が200~300人だった。

住宅倒壊による圧死者の半数のほか、津波と土砂災害による死者の大半も神奈川県内。関東地震は神奈川を中心に南関東から静岡県にかけて甚大な被害を及ぼした。だが、東京の大火災による死者が約6万6000人とあまりに多かったため、「東京の地震」という印象をもつ人も少なくない。

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