木密地域で巨大地震!(前編)火事が起きたらどうなる?

写真説明:木造住宅が密集する地域(2019年1月、東京都北区で)

延焼で大規模火災につながる懸念も

老朽化した木造住宅が密集する市街地「木密地域」は、全国の都市部に広がる。首都直下地震などの巨大地震が発生すれば、家屋の倒壊に加え、延焼による大規模火災も懸念される。狭い路地が多く、避難や救助活動は困難とされているが、人命を守るためには、住民による初期消火や地域で防災力を高める取り組みが重要だ。架空のシナリオで考える。

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シナリオ1 道幅が狭く万一の事態を心配していた

古い木造住宅が軒を並べる東京都内の市街地に、太郎(65)は妻の花子(60)と一緒に住んでいる。自宅は、路地に面した築40年以上の木造住宅だ。駅から少し離れているが、近くに昔ながらの商店街や病院もあって便利な上、顔なじみも多く、安心して暮らせる街だ。

この地域では高齢化が進み、1人暮らしの人も多い。近年は、空き家が目立つようになってきたのが少し気がかりだ。太郎と花子は近所の散歩を日課にしているが、路地は細く入り組み、行き止まりもある。「まるで迷路のようで面白い街よね」と花子は笑う。太郎も「街歩きを楽しむのには最高だね」と応じつつ、「でも、道幅は狭いし、万一の時、消防車は入ってこられないな」と不安を口にした。隣の家同士が密接しているため、火事が起きたら心配だ。

ある日の夕方、自宅の窓が強風でカタカタ揺れていた。「きょうは寒いから」と花子が言い、IHクッキングヒーターに鍋をかけておでんを煮始めた。太郎と花子が居間でくつろいでいると、突然、体験したことのないような揺れに襲われた。太郎が「危ない。机の下に隠れろ」と叫んだ。

揺れがようやく収まり、花子が台所に行くと、おでんは無事だったが、食器棚から食器が落ちて散乱していた。

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