写真説明:木造住宅が密集する地域(2015年1月、東京都杉並区で)
住民による初期消火が重要
木造住宅が密集する「木密地域」で巨大地震による火災・延焼を防ぐには、住民や地域の取り組みが重要だ。
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木密地域が多いのはどこか
木密地域は人口の多い都市部に多い。狭い路地に木造家屋が立ち並び、消防車などの進入が困難で火事になると消火や避難に支障が出かねない。
国土交通省は2012年、地震などで火災が燃え広がる危険性が高く、避難も困難な密集市街地として、全国17都府県の197地区、計5745haを指定した。2022年3月末時点で対象面積は1989haに改善したが、最も大きいのは大阪府の982haで、神奈川、京都、兵庫、東京が続く。
東京大教授の広井悠さん(都市防災)は、「大震災などにより、木密地域では同時多発的に火災が発生しやすい。強風が吹いた場合、延焼による被害が広範囲に及ぶ可能性もある」と指摘する。
大規模火災に至った例
教訓となるのが、2016年12月の日中に発生した新潟県糸魚川市の大火だ。飲食店のコンロの火の消し忘れが原因で出火。フェーン現象に伴う強い南風で、風下側に飛び火するなどして木密地域に燃え広がった。住宅など147棟、約4万㎡を焼き、17人が負傷した。阪神・淡路大震災(1995年)では、同時多発的な火災が起き、被害が拡大した。
写真説明:延焼する新潟県糸魚川市の市街地(2016年12月22日)
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