写真説明:発達した低気圧による暴風雪で根こそぎ倒れた街路樹(2012年11月、北海道室蘭市で)
「達人の備え」今回のテーマは「爆弾低気圧」です
このコーナーでは、京都大防災研究所の研究者が減災のヒントを伝えます。今回は、吉田聡(あきら)准教授(気象学)です。
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温帯低気圧が発達
日本は、上空を吹く偏西風と沿岸を流れる黒潮、親潮の影響で、温帯低気圧が世界で最も多く通過する地域の1つとなっています。温帯低気圧のうち、度々冬に災害をもたらしてきたのが、「冬の台風」とも呼ばれる「爆弾低気圧」です。
爆弾低気圧とは
爆弾低気圧は、中心気圧が24時間で24hPa(ヘクト・パスカル)以上低下するもののことを指します。通常の低気圧は24時間で数hPa程度なので、ものすごいスピードで発達し、暴風、大雨、吹雪、高波をもたらします。
爆弾低気圧のサイズは、「大型」とされる台風の倍に当たる半径1000km以上にも達し、被害が広範囲に及びます。急激に発達するので、朝晴れていても、午後には暴風雨や吹雪になることがあります。さらに、通過後には冬型の気圧配置が強まり、豪雪をもたらすので、一度襲来すると影響が長引きます。
爆弾低気圧が近づいてきたら…
最も注意が必要なのは暴風雪で、都市部では交通機関がまひするリスクがあります。不要な外出は控えてください。台風並みの風が吹くので、窓ガラスに飛散防止のテープを貼るなどの対策も重要です。
写真説明:暴風雪で通行止めが相次ぎ、足止めされた車両(2013年3月、北海道網走市で)(画像は一部修整しています)
爆弾低気圧の予測
幸いなことに、爆弾低気圧の予測精度は台風に比べると高く、4日前には大体の見当が付きます。緊急性が高い場合は気象庁から注意喚起されますが、週間天気予報で暴風を伴う雨や雪の予想を見たら、詳しい天気を確認してください。
写真説明:吉田聡准教授(気象学)
(読売新聞 2022年11月28日掲載)
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