外国人が大地震に遭遇したら(前編)必要な情報が届かない!


写真説明:北海道胆振東部地震で避難所に向かう観光客の列。外国人も多く見られた(2018年9月、札幌市で)

言葉の壁をどう乗り越えるか

在留資格の拡大もあり、日本に住む外国人は年々増えている。コロナ禍で外国人観光客は減ったが、水際対策の緩和で今後は増加が見込まれる。災害時、外国人は言葉の壁や文化の違いなどから、重要な情報が届きにくい。どのように支援し、安全に避難してもらうか。日本に滞在する外国人が地震に遭遇した場合について、架空のシナリオで考える。

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シナリオ1 地震がほとんど起きない国から来日

オーストラリア出身の大学生、ジョン(22)は今年の夏、留学のため初来日した。現在は、首都圏のアパートで1人暮らしをしている。

月曜の朝、朝食後に出かける準備をしていると、突然、スマホからけたたましいアラート音が響いた。直後、大きな揺れがおそってきた。照明も大きく揺れ、カラーボックスから本やマグカップなどが落ちる。

オーストラリアでは地震はほとんどないため、本格的な地震は初体験だ。来日前、通っていた大学の先生が、2011年の東日本大震災の話をしてくれたことを思い出した。

家の中にいては危険だと思い、アパートの階段を駆け下りた。近くの信号を見ると点灯していない。どうやら停電しているようだ。数分後、恐る恐る階段を上って部屋のドアを開けると、床に本や割れた食器が散乱していた。

スマホでニュースサイトを開こうとするも、混み合っているようでページが開かない。普段、お世話になっている大学の留学生支援センターの電話も不通だ。どうすればいいのかとジョンは頭を抱えた。

そのころ、同センターの職員たちは、留学生の安否確認作業などに追われていた。「みんな、無事だろうか。避難所の場所は知っているのだろうか」。祈る思いで確認の電話を入れ続けた。

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