【編集長より】開設2か月となりました 備えとBCP

大切さはわかっていても手が回らない

サイト開設後、防災に関して意見やコメントをいただくことが増えました。一番多いのは、防災の大切さはわかっているけれど、手が回らないという声です。「優先しなくちゃいけないことが多すぎて」。わかります。

内閣府の「日常生活における防災に関する意識や活動の調査」(2016年)で、それを裏付ける結果が示されています。回答者の9割が、災害への備えを重要だと思っていましたが、「十分に取り組んでいる」は3.4%に過ぎませんでした。実際は6割が「ほとんど取り組めていない」と「特に取り組んでいない」状況で、10人に1人超は「自分の周りでは災害の危険性はない」と考えていました。

 

説明:「日常生活における防災に関する意識や活動についての調査結果」(内閣府・2016年)より

住友生命が2019年12月に実施した「スミセイ“わが家の防災”アンケート2020」でも、2人に1人が、1年以上前から実施している家庭の防災対策は特にないと回答していました。備えは後回しになりがちという傾向が伺えます。

それでも私が心強く感じたデータもあります。最新の防災白書(2020年9月)で示された事業継続計画(BCP)の策定状況に関するデータです。BCP(Business Continuity Plan)は大災害やテロなどの重大リスクが発生しても業務を継続できるよう策定しておくものですが、大企業の7割が備え完了を示す「策定済」と回答し、「策定中」「策定予定」を含めると、95.9%に達しました。

2007年の調査では「策定済」は2割に過ぎませんでした。東日本大震災以降、目に見えて増えました。今年は感染症対策を改訂した企業も多かったことでしょう。2020年に策定率100%という政府目標を達成できるか微妙ですが、防災への取り組みを示すデータであることは間違いありません。

では、その策定したBCPをその時に遂行するのは誰なのでしょうか。従業員が夜間や早朝時などに自宅で、また就業中であっても出先や出張先などで災害に巻き込まれたとき、適宜、命を守る行動ができるのでしょうか。自宅の状況や家族の安否がわからないまま、事業継続のためのBCP対応ができるものでしょうか。

BCP対応は、かかわるすべての人たちのLCP(Life Continuity Plan)、もしくはFCP(Family Continuity Plan)があれば、より実効性の高いものになるように思います。

くらし×防災メディア「防災ニッポン」では、その時、一人ひとりが大切な命やものを失うことがないように、さまざまな備えを伝えていきます。策定したBCPが絵にかいた餅にならないよう、LCPやFCPのために活用ください。

オンでもオフでも備えを万全に。

編集長 笠間亜紀子

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