磯田道史さんらが語る「道路から考える防災・減災、国土強靭化」【PR】

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昨年は関東大震災から100年、今年元日には最大震度7を観測する能登半島地震が発生するなど災害への備えが喫緊の課題となる中、災害時の道路の役割などを議論する座談会「道路から考える防災・減災、国土強靭化――レジリエンス社会構築に向けた首都圏の防災力・対応力の強化」(国土交通省関東地方整備局主催)が東京都内で開催された。3人の有識者が首都直下地震への備えについて意見を交わした。

(座談会出席者)
国土技術研究センター理事長 徳山日出男氏
歴史学者 磯田道史氏
国土交通省 関東地方整備局長 藤巻浩之氏

能登半島地震をどう捉えたか?

徳山氏 昨年の座談会で、防災に対して他人ごとではない「自分ごと化」をキーワードに挙げたが、元日に能登半島地震が発生した。東日本大震災の時と同じく、“100年に1度”“1000年に1度”であっても、災害というものは起こる時は起こる。改めて自分ごととして備えなくてはならない。

磯田氏 記録を辿ると、1729年に能登半島でマグニチュード7相当の地震が発生している。今回はマグニチュード7.6と、大幅に上回った。想定を上回る事態は往々にして起こるものだ。

徳山氏 想定をうのみにしてはいけない。想定は、何万通りもあるシナリオの一つに過ぎない。

藤巻氏 今回、奥能登へのメインとなる道路が乏しかったと感じた。「備え」ということを考えれば、迅速な救助活動を支えるためにも、しっかりとした幹線道路が必要だ。

徳山氏 しっかりとした幹線道路は、短期的な経済合理性のみで判断すべきではないだろう。東日本大震災の時の三陸道と同様に、能越自動車道が輪島まで完成していれば、救助活動や復興に少なからず影響したはずだ。

防災・減災と道路の関係性

磯田氏 日本の道路は古代の律令国家以降に目覚ましく整備され、いったん中世で荒れて以降、近世・近代には世界に類を見ないほどの、まるで毛細血管のように緻密な道路網が築き上げられた。そのすべてを維持するのは困難だが、災害時の命綱として主要な幹線道路には資源を集中するべきだろう。

徳山氏 強いインフラの必要性は平時には意識されにくい。だが、いざ災害が起こると意識が向く。関東大震災後、隅田川に丈夫な橋が架けられたこともそうだ。「やはり必要」となった後にどう対応するかが、行政の役割でもある。

磯田氏 明暦の大火の時も橋がないから逃げられない、広い道路がないから延焼が止まらないとなり、その教訓からインフラが整備された。手痛い災害が起こると、行政もインフラの必要性に気づき、国民もそれに賛同する。

藤巻氏 首都直下地震時には、救助や支援により都心方面へ早く駆けつける必要がある。首都直下地震に備えた道路啓開計画(八方向作戦)があるが、さまざまなルート選択が可能となるよう、色々な道路をあみだくじのようにつなぐネットワークが必要である。

磯田氏 旗振り役としての行政は、「CAN(できること)」だけでなく「MUST(すべきこと)」を常に念頭におくべきだろう。幹線道路しかり、ある程度の緑地帯しかり。利便性のみに尺度を置くのではなく、防災・減災のためにすべきことをなすという意思の確立。それが有事の際の命綱となる。

首都直下地震・南海トラフ地震への備え

藤巻氏 能登半島地震が発生して以降、常に能登半島の地図を見ながら仕事をしているが、逆さにすると房総半島と非常に似ている。また、災害は時と場所を選ばずに襲ってくるということを思い知らされた。今回の能登半島地震での教訓について関係者と一緒に取り組んでいきたい。

徳山氏 行政の取り組みと同時に、やはり「自分ごと化」もいっそう浸透させていかなくてはならない。能登半島地震では建物の倒壊による被害が大きかった。この場合、最初の20秒間を生き延びられれば、生存率はかなり上がる。多くの人は勘違いをしているが、水や食料を備蓄していることイコール防災ではない。それは生き延びた後の話であり、まずは最初の20秒をどうするか、その心構えが大切だ。

磯田氏 最初の20秒をどうするかという訓練やシミュレーションを、個々人で行っておいた方がいい。

徳山氏 特に、耐震補強がなされていない昭和55年以前の建物は、圧倒的に倒壊のリスクが高い。補強するなどの対策を取っていただきたい。今回の能登半島地震で起こったことは、自分の身にも起こることだと思わなくてはならない。

これからの自助、共助、公助

磯田氏 これからの防災・減災を考える上で、藤巻氏が「能登半島地震の教訓を関係者と一緒に取り組む」と仰ったのは非常に心強い。自助、共助、公助と言われて久しいが、やはり公助、特に事後ではなく事前の公助、つまり事前のインフラの整備が防災・減災には大きな役割を果たす。

藤巻氏 自助、共助は住んでいる土地など個人差が出てくるもの。公助は時間軸で言えば、あらかじめやっておくべきもので、取捨選択や優先順位をつけて取り組む必要がある。

徳山氏 自助、共助を巻き込むには、「心を揺さぶる」ことが重要だ。自分の身に起こりうることとして心が揺さぶられなければ、なかなか行動にまで繋がらない。

磯田氏 いかに災害のリスクを内面化できるか。たとえば、私の母方の曽祖父はもともと山間部で育った人間だが、徳島のある海辺の町で暮らすことになった。その町は津波の常襲地で、「家にあったソロバンが津波で流され、遠い農地に埋まっていたのを後年に見つけた」といった会話がなされるような町だった。それが心を揺さぶっていたのだろうか、昭和21年の明け方、実際に大地震が起こった時、津波を目にした経験がないにも関わらず、曽祖父は真っ先に家族を連れて家を飛び出し、高台に逃げ、全員無事だった。

徳山氏 そうしたリアリティのある話、心を揺さぶる話を伝えていくことが必要だろう。

磯田氏 災害伝承を含め、防災コミュニケーター、防災インフルエンサーとなる存在が「自分ごと化」に果たす役割は小さくはない。

藤巻氏 やはり災害をいかに想像していただけるかだと思う。人は普段から考えていることしか出来ない。それをどう行動につなげていけるかが大切であり、いつ来るともしれない首都直下地震に対して、少しでも備える取り組みを行っていきたい。

 

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