Sponsored by 三井住友海上火災保険
近年、脅威を増す自然災害
地震や台風などの自然災害が年々、深刻になっている。
実際、政府の地震調査委員会は、南海トラフで今後20年以内にマグニチュード8~9級の地震が発生する確率(2023年1月1日現在)を、前年の「50~60%」から「60%程度」に引き上げた。「いつ地震が起きても不思議はない状況なので、備えを進めてほしい」と平田直委員長も記者会見で警告している。
また、地球温暖化の影響を受けて、台風などによる風水害の影響も深刻度を増している。
損保協会の調査によると、風水害などによる保険金支払額の上位10位に、2014年以降に発生した台風などによる被害が七件も入っている。こうした頻発化、激甚化する自然災害に対する備えは、住民の生命と財産を守る自治体の大きな役割でもある。
そうした中で、MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上とインターリスク総研が共同開発した自治体向け防災・減災支援システム「防災ダッシュボード」が注目を集めている。災害リスクにつながるリアルタイム気象データや30時間以上先の洪水予測データ、そしてAIによる発災後の被害推定などがダッシュボード上にわかりやすく可視化されることで、早めの住民避難に向けた準備など、的確な防災・減災対応に繋げることができるからだ。
今年の4月から自治体への提供を始めるサービスの詳細を見ながら、その意義を確認してみよう。
災害に関する必要な情報を一元化 ワンストップでの防災・減災をサポート
自然災害が発生すると、自治体はその対応のために、限られた状況の中でさまざまな情報を収集しなくてはならない。災害が差し迫った際には、いち早くどのエリアにどんな災害リスクが迫っているか?例えば降雨解析データや浸水ハザードマップを確認し、その危険エリアに住む住民の数や高齢者の割合を把握した上で避難準備に取り掛かるなど、多種多様な情報を得ることが必要となる。
「『防災ダッシュボード』では、そうした情報を一元化し、わかりやすく可視化することで、自治体での情報収集・分析の迅速化、効率化を実現できる」と、このプロジェクトを担当する三井住友海上ビジネスイノベーション部の岡崎氏は話す。
「防災ダッシュボード」は、平時の備え、災害発生前、災害時、被災後の各段階で必要とされる気象・災害データを全て可視化できる。
1.降雨データ(リアルタイムの降水量、積算降水量)
2.河川データ(河川のリアルタイム水位と河川カメラ画像)
3.警報・注意報(気象警報および気象庁キキクルによる洪水・浸水・土砂災害リスク)
4.ハザードマップ(洪水・内水・土砂)、避難所情報
5.過去の水災事故情報
6.SNS(気象災害、火災、事故、事件、生活基盤等に紐づくSNS投稿情報)
7.人流(スマートフォンの位置情報と連動したリアルタイムのエリア人口、年代別構成)
これらはマップ上で重ね合わせて閲覧することができる。
例えば、注意報が出た地域の積算降水量や河川水位、過去の水災事故情報を同時に確認しながら、そのエリアに滞在するリアルタイムの人口、高齢者や県外からの来訪者割合なども把握することで、該当エリアの緊急度合いを判断し、避難を効率的に促すことに役立てる。
こうした災害関連情報の集約に加え、30時間以上先の洪水リスクの予測システムを実装しているのもこのシステムの大きな特長だ。
こちらは東京大学とJAXA(宇宙航空研究開発機構)が共同で開発したシステムと連携。現行の指定河川洪水予報よりも先の時間の浸水リスクの想定ができるため、職員の待機体制や夜間を避けた早めの避難計画なども立てやすくなる。
三井住友海上はオープンイノベーションで社会課題の解決を目指す姿勢を打ち出しており、こうした高度な研究成果を実際の現場で使いやすいサービスに進化させていく産学連携の取り組みも重要なミッションである。
また、独自のアルゴリズムによって発災後の被害規模を推定することもできる。地震の場合は発災から約1時間後、洪水は約1~3日後にダッシュボード上に示すことが可能であり、防災ダッシュボードを活用することで、ホワイトボードに個々の職員が被災情報を書き加えていた災害対策本部における従来のスタイルが大きく変わっていくと想定できる。
発災後の予想被災棟数を可視化(平成28年熊本地震)
「精緻な被災件数予測に基づくことで、被災地支援に向けた職員手配など、迅速かつ的確な初動対応が実現できる」と、被害推定アルゴリズムの開発を担当したMS&ADインターリスク総研のリスク計量評価部部長の堀江氏は話す。今後はSNS情報を活用するなど、より現場で使えるように被害推定の高度化を図っていきたいという。
必要とされる防災・減災サービスを提供するMS&ADインシュアランスグループ
「現場で本当に役立つサービスを提供したい」との想いから、サービスリリース後の1年間は敢えて無償期間とし、全国約90の市町村の防災担当に使っていただき、現場での評価に基づいたサービスのアップデートに多くの時間と労力を費やしてきた。
防災ダッシュボードを通じた自助・公助・共助による地域防災の強化を目指して
これらの取り組みが高く評価され、昨年末には愛媛県のデジタル田園都市国家構想において、「都市リスクの可視化」を実現するためのツールとして、防災ダッシュボードの正式採用が決まった。リスクの可視化により、自分自身や家族、地域で助け合うような災害行動に繋がっていくことが期待されている。
防災担当職員の経験や知識だけに頼るのではなく、DXの力を借りた自助・公助・共助による地域防災の強化こそがこれからの主流になっていくだろう。
国内3大損保の一角、MS&ADインシュアランス グループでは、デジタル技術を活用しながら、リスクの発現を防ぎ、迅速な回復を支援する「CSV(共通価値の創造)×DX」戦略を展開している。進化を続けるテクノロジーを取り入れ、蓄積したデータやノウハウを活用して開発した「防災ダッシュボード」はその先駆けとなりそうだ。
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