津波で生き延びるには「実感」伴う避難訓練が重要

大分県作成の動画「おおいた防災VR」は、南海トラフ地震で想定される津波が市街地や港を襲うイメージを見ることができ、2020年末から動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開。「津波・高潮ステーション」(大阪市)などの防災関連施設でも同様の体験ができる。

内閣府が2011年の東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の沿岸市町村の住民に12年に行った調査で、地震発生時に津波が来るか、来るかもしれないと考えた人は、津波防災に取り組んでいた地区では計65%で、そうでなかった地区は計48%。安全に避難できた人はそれぞれ41%、27%だった。防災活動が盛んな地区の方が避難につながりやすいことを示しており、地域で自主防災組織などの避難訓練があれば、積極的に参加したい。

図=東日本大震災発生時の津波到着への意識

※東北3県の沿岸市町村の住民への調査(内閣府、2012年)を基に作成

南海トラフ地震で最大14mの津波が想定される和歌山県みなべ町では、町が企画した訓練を自主防災組織がアレンジし、夜間にずらしたり、避難経路の一部が通行止めになったと仮定したりして実施した事例もある。町自主防災会連絡協議会長の西山博康さんは話す。「本当に津波が来たとき、練習した以上のことはできない。危機感を持って備える必要がある」

◆避難訓練3か条

▽天候、時間など条件を変えて

▽経路の危険箇所も確認

▽動画などで恐ろしさ体感

 

(読売新聞 2021年1月23日掲載 連載「防災ニッポン 津波・逃げる」おわり 生活部・大郷秀爾、梶彩夏、生活教育部・岡本久美子が担当しました)

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